DO SOMETHING GREAT という文字のネオンサインの写真

2023年の初体験たち

こんにちは。SmartHR CEOの芹澤です。 2023年の大晦日、ぼんやりとこの1年を振り返っていたのですが、ふと、思いの外「初めての経験」へのチャレンジがいろいろあった一年だったなと思いました。 今までやったことのないことをやるのは、それだけで大きな学びになります。“非日常” だった初めての経験がいつか “日常” になることもあるかもしれません。この初心を忘れてしまうのも勿体無いような気がしたので、印象的だったものをいくつか書き記してみようと思います。 増量トレーニング 1月~2月の2ヶ月間、パーソナルトレーナーの指導のもとに筋肉量を増やすトレーニングをしました。2022年末から取り組んでいた減量トレーニングからの流れでの挑戦でした。生まれてこの方インドア派で筋骨隆々とは無縁の生活を送ってきており、なんならいかに体重を増やさないかに苦心していた自分が、まさか増量に向けて努力する日が来るとは思ってもいませんでした。 やったことは、週2回のウェイトトレーニングと食事管理で、一番大変だったのは食事管理でした。増量トレーニングを始める前に「増量って食べることを我慢しなくていいから余裕では」と思っていた自分は甘かったです。筋肉を作るためにはタンパク質のほかに糖質が必要で、タンパク質・脂質・糖質のいわゆるPFCバランスのうち、脂質をグッと抑えてひたすらにタンパク質を糖質をとることになります。最盛期は1日におにぎりを5〜6個にミニ羊羹を2〜3本という糖質量でした。一度にたくさん食べると脂肪が合成されてしまうので、1時間間隔で細かく食べるのですが、お腹が空かないのに食べ続けることがこんなに辛いとは思いませんでした。 トレーナー曰く、減量と違って増量は個人差が激しく、筋肉がつきやすい人とそうじゃない人がいるそうです。2ヶ月頑張ったのですが、増えた筋肉量は1kgちょっとで、残念ながら自分は “そうじゃない人” なんだなという気づきがありました。筋肉量はあまり増えなかったのですが、世の中の筋骨隆々な人に対するリスペクトは爆増しました。みんなすごい。 ワンデイワインバル出店 学生時代は長いことイタリアンレストランでアルバイトをしていて、ホールとキッチンを担当していました。社会人になってからも料理はちょっとした趣味として細々と続けていたのと、ここ数年はワインにハマっていたこともあり、いつかまた飲食店をやってみたいと思っていました。 そんななか、ひょんなことから「ひがいけポンド」さんのお店をお借りする機会をいただいたので、会社の同僚と2人で1日限定ワインバルを出店することにしました。同僚はワイン担当で、僕は料理担当。どんなワインを出そうとか、それに合う料理はなんだろうとか、出店前の諸々のやり取りからすでに “非日常” という感じがして楽しかったのを覚えています。 迎えた出店当日、数組のゲストとの会話を楽しみつつ、のんびり料理を提供していくものかと思っていたら、嬉しいことにお店はまさかの大盛況。ピーク時はほぼ満席となり、アルバイト時代でも稀に見る忙しさを経験することになりました。 結局オープンからクローズまでずっと作業に忙殺され、店を閉めた時の「やり終えた感」は普段の仕事のそれとは全く違く、新鮮でした。 利益度外視でやっていたものの、飲食店における食べ物と飲み物の価格設定や食材費・家賃・人件費・光熱費といったコストの考え方などが少し理解できた気がします。 落語鑑賞 これは当ブログ「ビジネスパーソンは落語からなにを学ぶか」に書いた通り。年始から落語にハマり、人生で初めて寄席で落語を鑑賞しました。 喋り一本で勝負する噺家のテクニックからは学べることが多いのと、寄席の楽しみ方をしれたのは大きかったです。生涯の趣味にできる気がします。 会社の人と落語鑑賞で盛り上がって、ついには噺家の方を招いてオフィスで落語を演じていただいたのはいい思い出です。めちゃくちゃ笑いました。 親知らずの抜歯 大人になってからずっと4本の親知らずと共に生きてきました。歯に関するトラブルが極端に少ない人生で、歯医者にお世話になることもほとんどなかったのですが、ふと歯のクリーニングを受けた時に「この親知らず、抜いてみてはどうですか?」という提案を受け、興味本位で抜いてみることにしました。特に痛みがあったわけではないのですが、食べたものがよく挟まって困った存在ではありました。 右側の上下を一気に抜いたのですが、結論、親知らずの抜歯とはこんなにキツイものなのか…と安易な決断をした自分を呪いながらクリニックからトボトボ帰りました。抜歯のキツさは親知らずの生え方によるそうなのですが、僕の右下の親知らずは抜歯に45分を要するなかなかの強者だったようです。 施術前に同僚から「心を殺し、コンクリートに埋まった鉄筋を抜かれる基礎の気持ちで挑むべし」とご助言いただいたのですが、これは本当にそうだなと思いました。 ちなみにまだ左側の上下が残ってます。さて。 テレビ出演 ご縁がありNHKの「とまどい社会人のビズワード講座」に出演させていただきました。 渋谷区生まれなのでNHK放送センターには馴染みがあったのですが、中に入るのは初めて。楽屋やスタジオがずらりと並ぶ建物内の様子や、スタッフ・出演者の方々との台本の読み合わせ、大きなカメラや照明機材が並ぶ収録風景は、どれも僕にとっての “非日常”。めちゃくちゃに緊張しましたがとても良い経験をしました。 僕みたいなテレビ出演が初めてな人がいる中で、オンタイムでテキパキと撮影を進行させていくスタッフの方々の仕事術には本当に関心させられました。普段見ているテレビ番組は、本当にたくさんの人たちの仕事の上に成り立っているのです。 ボッドキャスト配信 11月に個人のポッドキャスト「読んでみてはラジオ」をはじめました。他の人がやっているポッドキャスト番組にゲスト出演させていただいたことは何度かあったのですが、イチから自分で構成を考えて収録し、チャンネルを開設して配信したのはこれが初めて。 番組開始に際して改めて色々なポッドキャストを聞いてみると、進行のみならずBGMやSEなど本当に色々なところに工夫が散りばめられていることに気がつき、普段何気なく聞いているポッドキャストが、なぜ「何気なく聞ける」のかがわかった気がしました。 「読んでみてはラジオ」はパーソナリティ2名で最近読んだ本を紹介しあう番組なのですが、やってみると想像以上に読書との向き合い方が変わりました。「いつかここで紹介するかもしれない」という前提条件がつくので、今まで以上に自分で解釈しながら深く本を読むようになった気がします。インプットとは、アウトプットとセットでやることに意味があるのですね。 ちなみに12月からはSmartHR社でもポッドキャスト「Yet another SmartHR」を始めました。2024年はパーソナリティスキルを高めていくぞ。

12月 31, 2023 · Masato SERIZAWA
たくさんの人々の顔に種々の絵文字がオーバーレイされている写真

メタ認知に役立つビジネスパーソンの類型

こんにちは。SmartHR CEOの芹澤です。 これはSmartHR Advent Calendar 2023の13日目(シリーズ1)の記事です。 世の中にはたくさんの「性格診断」があり、ちょっとした会話のネタとして活用されていたりします。例えば、血液型を聞かれて「やっぱり!」とか「意外〜!」と言われた経験を持つ人は多いのではないでしょうか。ビジネスの世界においてもそれは同じです。ただし、ものによっては「会話のネタ」以上の効果を発揮するものもあり、なかなか侮れません。 ビジネスシーンで用いられる性格診断において、僕が一番意識しているのは「メタ認知」への活用です。自分自身がどういう性格なのか、人と比較してどう言う特徴や癖を持つのかというのは、意外と自分が一番わかっていないものです。今回は、そのような理解を深めるのに役立つ性格診断ツールや考え方をいくつか紹介します。 用法・用量 当然ながら、これらの分類は「そういう傾向にある」というものであり、それぞれのカテゴリーにデジタルに分かれるものではなく、グラデーションもあると思います。 また、この分類を他人に対して強く意識しすぎるといわゆる「偏見」となり、ネガティブに作用してしまうこともあります。分類や特徴に優劣をつけるのではなく、あくまでメタ認知や多様性理解を深めるためのツールとして活用していくことを前提としていただければと思います。 1: ストレングスファインダー 最初に紹介するのは「ストレングスファインダー」です。これはギャラップ社の開発した「才能診断」ツールで、177個の質問に答えることで、ギャラップ社の定義する34の資質のうちどれを強く持っているか診断してくれます。日本でも様々な企業で導入されていたり、無料でも(一部制限付きで)診断できるため、何かのタイミングでやられたことのあるかたも多いかと思います。 34の資質は以下に示す「実行力」「影響力」「人間関係構築力」「戦略的思考力」の4つに分類されていて、診断を行うと34の資質が強く持っている順に表示されます。 実行力 物事を成し遂げるのに役立つ資質 影響力 主導権を握り、物事を動かしていくことに役立つ資質 人間関係構築力 人を尊重し、チームを団結させることに役立つ資 戦略的思考力 情報を取り入れ、適切な判断を行うのに役立つ資質 自分がこの4つのタイプのどこに属するかを知るだけでも「強みを把握する」という観点で役に立つと思います。 34個の資質を個別に読み込むのはそれなりのコツが必要なのですが、上位と下位の資質は生涯を通して大きく変わることはないと言われているため、最低限それらだけでも覚えておくと良いかもしれません。 ちなみに、僕の資質の上位5つは「学習欲」「個別化」「達成欲」「最上志向」「着想」で、普段の生活でこれらの強みを活かせないかと考えるようにしていたりします。 学習欲 常に向上することに駆り立てられ、成果よりも学習すること自体に意義を見出す 個別化 各人の資質に関心を持ち、それらをまとめ、生産性の高いチームを作ることに長ける 達成欲 自分が多忙で生産的であることに、大きな満足感を得る 最上志向 改善を促す方法として長所に着目し、何事もより優れたものに変えようとする 着想 アイデアに魅力を感じ、一見共通点のない現象に関連性を見出すことができる 個人でやってメタ認知を高めるのに役立つのはもちろん、チームメンバーでやって各人の強みやチームの傾向を把握するのにも役立ちます。 2: タイプ分け 次に紹介するのは「タイプ分け」です。これは株式会社コーチ・エィが開発したコミュニケーションタイプの分類で、コミュニケーションをとる相手がどのタイプなのかを把握することでより効果的なアプローチができるようになります。 この診断では人間のコミュニケーションの傾向を「コントローラー」「プロモーター」「サポーター」「アナライザー」の4つに分類していて、いくつかの質問に答えることで自分どのタイプに属しているのかを教えてくれます。 コントローラー 自分の判断で、自分の思った通りに物事を進めていきたいと考える プロモーター 社交的で積極的な性格を持ち、人と活気よく物事を進めていきたいと考える サポーター 他人の感情に敏感で共感力があり、他人を援助することを好む アナライザー 多くの情報を集め、論理的に物事を分析することを好む 自分のタイプを把握することで、自分が普段どういうコミュニケーションを取りがちなのかがわかりますし、相手のタイプを合わせて把握することで、どのようなコミュニケーションをとるのが一番お互いにとって気持ち良いのかがわかるようになります。 この分析の面白いところは、「喋るのが早い」とか「身振り手振りが多い」のようにそれぞれの分類の特徴も言動に出やすいので、慣れてくるとなんとなく「あ、この人はこのタイプかも」とわかってくる点です。コーチ・エィが開発しているだけにコーチングや1on1でも使えますし、チームビルドにも役に立ちます。 ちなみに僕は「コントローラータイプ」です。スコアとしてはコントローラーが 60.3 と一番高く、その他アナライザーが 56.94、プロモーターが 55.04、サポーターが 46.52 という感じです。一緒に受けた他のメンバーと比較すると、各タイプにそこまで差がない方でした。 3: システム型 / 共感型 次に紹介するのは、「ザ・パターン・シーカー」という本で取り上げられているシステム型と共感型の考え方です。これは、人間の脳の傾向がSQ(システム化指数)とEQ(共感指数)の2軸で分類されるということを基本的な考えとします。 ザ・パターン・シーカー:自閉症がいかに人類の発明を促したか amazon.co.jp SQはシステム化への関心度を表し、これが高い人はドキュメントの細かな文言や、ハードウェアやソフトウェアが動く仕組みに関心を示します。小さい頃に機械を分解して遊んでいたような人はSQが高いと言えます。 EQは人の気持ちへの関心度を表し、これが高い人はコミュニケーションや教育、協調性、スピリチュアリティーなどに関心を示します。小さい頃から人と話すのが好きだったり、物語に共感して涙を流すことが多いような人はEQが高いと言えます。 イギリスの研究で60万人を対象にEQとSQに関する調査を行った結果、EQとSQはトレードオフの関係にあることがわかりました。つまり、EQが高い人はSQが低くなり、SQが高い人はEQが低くなるのです。研究ではこの傾向をもとに脳を以下の5つのタイプに分類しています。 エクストリームE型 EQが極めて強く、人が何を感じ、自分が何を話せばいいのかについては努力を要さずとも瞬時に察するが、パターン認識は弱い E型 EQが強く、人間関係構築能力に優れる。人の気持ちを簡単に察知し、人を思いやることを好む B型 EQとSQを同程度で持つバランスタイプ S型 SQが強く、システム化能力に優れる。物事の仕組みに着目し、試行錯誤に没頭する エクストリームS型 SQが極めて強く、複雑な物事の中にすら法則性を見出し、それに必要な計算も瞬時に行えるが、共感能力は低い 上記のうちエクストリームE型とエクストリームS型は、母集団にそれぞれ数%しか見られない稀なタイプだったようです。...

12月 13, 2023 · Masato SERIZAWA
緑道をジョギングをする2人の人

デスクワーカーが運動を習慣化するために

こんにちは。SmartHR CEOの芹澤です。 皆さんはここ最近、十分に運動ができていると感じますか? 厚生労働省が2019年に作成した「国民健康・栄養調査報告」によると、1回30分以上の運動を最低週2回、1年以上継続して実施している人は男性で33.4%、女性で25.1%となっているそうです。現在ではリモートワークが普及したことで通勤という尊い運動機会を喪失した人も少なくなく、上記の質問に「YES」と答えるのはなかなか難しいかもしれません。 ただ、僕は自信を持って「YES」と答えられます。 正確にいうと、この半年で生活習慣を見直し、「YES」と答えられるようになりました。 僕はあいにく運動の趣味を持ち合わせておらず、昨年末くらいからジワりと体重が増加したことを機に、運動不足対策を始めました。意識的に体を動かす努力・工夫をしてきましたが、運動というものはその習慣がない人にとっては継続させることが難しく、うまくいった取り組みとそうじゃないものがあります。今回は、その試行錯誤を通して「運動習慣のないデスクワーカー」の僕がなんとか運動を継続させられるようになった工夫を書いていきます。もちろん、あくまで僕の場合の話なので、全ての人に効果があるとは思いませんが、何かしらの参考になれば幸いです。 運動の効能を理解する 運動を習慣づけるためには強い動機が必要です。「痩せたい」とか「なんとなく運動不足を解消したい」程度の動機だと三日坊主で終わってしまうことがほとんどです。その先にあるアウトカムまで考えることが大切です。 運動による効能のうち、パッと思い浮かぶのは「健康になる」かもしれませんが、実は脳の働きに対して良い影響を与えることがわかってきています。 運動脳 amazon.co.jp この「運動脳」という本によると、運動を行うと脳内物質が分泌され、以下のような効果が認められているといいます。 ストレスの軽減 集中力の増加 モチベーションの増加 記憶力の強化 創造力の強化 人間は歴史上、デスクワークを行ってきた期間より狩猟や採集を行ってきた期間の方が長いため、体を動かすことを通して脳の様々な働きが刺激される、というのがこの本のロジックとなっています。 運動にもいろいろありますが、この本がおすすめしているのが「有酸素運動」です。脳を最高のコンディションを保つためには、週に3回、45分以上のランニングを行うのが望ましいとのことですが、たとえわずかな1歩でも脳のためになるという考え大切で、日常的に歩く距離を増やすだけでも変わってくるそうです。 運動を行うことで仕事にも良いコンディションで臨めるようになる。そう考えると、なんとか運動を続けてみようと思えないでしょうか。 継続の力を理解する 運動の効果を理解した次は、継続の力を理解しましょう。 ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣 amazon.co.jp 「Atomic Habits」として知られるこの本では、小さなことでも継続することによって発揮される威力を説いています。1日1%の改善でも、1年間を続ければ複利が効いて37倍よくなる、というのがベースとなる考え方です。 習慣を作るためには脳に「その習慣が未来のために役に立つ」と認識させることが大切であり、それは以下の4つのステップにより達成できるといいます。 きっかけ 「習慣」を作りたいと感じる根本にある問題に気が付く 例えば「体重が増えてきた」など 問題をスルーしないよう、できる限りハッキリと検知できる仕組みを作っておくと良い 例えば「毎朝体重を測る」など 欲求 「きっかけ」で気が付いた問題を解決したことによって得られるメリットをイメージする 例えば「運動をすることで体重が減って好きな服を着られるようになる」など 反応 問題を解決するための行動を行う 例えば「食事をコントロールする」「走る」など 報酬 「反応」により「欲求」が満たされてることで満足する 脳が一連のつながりを学習し、さらなる報酬を求めるために「きっかけ」に対し反応するようになることで、習慣化が達成される また、この本ではアイデンティティを「繰り返す存在」であると解釈し、習慣をコントロールすることで自分自身を変化させ、より理想とする姿に近づけていくことができるといいます。例えば、ミュージシャンは「毎日楽器を演奏(練習)する」からミュージシャンになり、プログラマーは「毎日コードを書く」からプログラマーになるのです。つまり、目指したい理想の姿と、そこに近づくための最小単位の行動習慣をリンクして考えることが大切ということです。運動に限らず、何かを習慣化する際は、それを繰り返すことが自分の理想とする姿とどう紐づくかをイメージしてみると良いでしょう。 運動量を可視化する 持続可能な習慣とするために、自分の中で「アトミック」な運動量を決めて、それを定量的に達成していくことをしましょう。 「毎日n分歩く」とか「週に3回走る」という目標を決めることも大切ですが、それを記録し可視化することは思いの外モチベーションの維持・向上に役立ちます。 今はスマートフォンがあれば大体のアクティビティは記録されますし、ウェアラブルデバイスがあればより正確な活動量が計れます。有酸素運動では心拍数を意識することが大切なので、心拍数を測れるデバイスがあると捗ると思います。 僕は腕時計は丸い形状が好みなので、Amazfit の GTR Mini を使っています。各種運動をスムーズに記録できたり、日々の活動量のノルマを設定できたりと、運動習慣を作るのに必要な機能は一通り揃っています。 Amazfit GTR Mini amazon.co.jp 運動の時間を作る さて、多忙なビジネスパーソンが運動習慣を作る最大の難所は「時間を作る」ということではないでしょうか。 僕も日中は仕事に、夜は会食や飲み会、家事に追われるため、定期的に運動の時間を確保することに苦戦しました。 これを解決したのが「朝の時間を開拓する」という方法でした。 ただ、僕はもともとはどちらかとえば夜型の生活を送っていて、朝早く起きるのは苦手でした。おそらく多くの人にとって、朝早く起きることは簡単なことではないでしょう。 人生を変えるモーニングメソッド amazon.co.jp そんな早起きの難しさを攻略するテクニックが説明されているのがこの本です。 この本ではいかにして「起きたい気分」になるかを以下のステップで説明しています。 前夜のうちに意思を固める 「朝起き最初に考えたことは、大抵、寝る前最後に考えていたのと同じ内容である」ため、翌朝に前向きな期待を持つ意識を、毎晩寝る前に積極的に持つことが重要 アラーム時計をベッドから遠ざける 起き上がってベッドから出ることが、目覚めるための大きな助けとなる 歯を磨く 起きてすぐに、何も考えずにできることをやって、体が目覚める準備期間を与えることが重要 コップいっぱいの水を飲む どんな時も疲れを感じた時は、大抵必要なのは睡眠よりも水分である 運動ができる服に着替える 朝のエクササイズは潜在能力を最大化するのに重要 (そう、この本で運動をすることの大切さが説かれています) 個人的には「前夜のうちに意思を固める」というのが思ったより効果がありました。ほら、誰だって休日の早朝から楽しみな予定がある時は頑張って起きられますよね。あれを意図的に作り出すのです。...

6月 17, 2023 · Masato SERIZAWA
先日訪れた新宿末廣亭の入り口の写真

ビジネスパーソンは落語からなにを学ぶか

こんにちは。SmartHR CEOの芹澤です。 突然ですが、みなさんは落語を聴いたことがありますか? 僕はついこの間まで落語はいっさい聴いたことがなく、持っている印象としても「祖父が好きだった」とか「ドラマ『タイガー&ドラゴン』の題材となった」とかそれくらいのものでした。 今回は、そんな僕がふとしたことから落語に興味を持ち、人生で初めて「寄席」に行くまでの経緯、そして、落語を聴いて感じたことを書いていきます。 プレゼンスキルを高めたい そもそものきっかけは「プレゼンスキル」への関心です。 「ペンは剣よりも強し」や「武器は説得に屈服する」など、古今東西の賢人が「言論の影響力」について言及していて、現代社会を生きる多くの方も日々これを強く実感されていることかと思います。 かくいう僕も、CEO業をやっていると大勢の人に対して「話して伝える」シーンに恵まれるため、毎日のように通意性について思いをめぐらせています。人に何かを伝えるということは、日常的に行われる動作の1つであるものの、実は非常に難しく、自分の解釈を100%そっくりそのまま他の人に伝えることはほぼ不可能と思っていただいてもいいかもしれません。人間、100人いれば100の解釈が存在するのです、育ってきた環境が違うから。特に、社外のイベントで話す時は、多くの人が僕や僕が話すことのバックグランドをあまりご存知ない状態からのスタートとなるので、この難易度がより一層高くなります。 プレゼンの数をこなし、資料の作り方やトークスクリプトのロジカルな組み立て方には自信がついてきてはいるけど、どこかスキルの伸びに頭打ちを感じる。この壁をぶち破って自分のプレゼンテーションスキルをさらに高めるべく注目したことの1つが「ユーモア」でした。 ユーモアは最強の武器である 自分の経験上、信頼できると思う人やついていきたいと思う人は、大体独特なユーモアセンスを持っていましたし、そういう人たちの言うことは自然と真面目に聞く傾向にありました。 世の中には同じことを考える人がいるもので、スタンフォード大学にはこの「ユーモア」の力をビジネスシーンで活かす研究している人たちがいて、彼らが出した本の中でも、ユーモアには以下の効果があることが言及されています。 ユーモアを持つ人は「知的」「有能」というイメージを持たれる リーダーはユーモアを活かすことでより「みんながついていきたい」と思うような人になれる ユーモアは場の心理的安全性を高める 結果として、クリエイティビティや生産性の向上が望める ユーモアは最強の武器である―スタンフォード大学ビジネススクール人気講義 amazon.co.jp 落語から喋りのユーモアを学ぶ 自分のプレゼンテーション能力、そしてリーダーシップを少しでも高めるべく、ユーモアの力を借りたい。そんなことをエグゼクティブコーチと発散的に話していたところ、「落語」をオススメされました。僕は落語のことを全く知らなかったのですが、コーチいわく「同じ話でも噺家によって面白さが全然違う」「上手い人はマクラ(本題に入る前の小咄)から面白く、グっと引き込まれる」とのことで、ユーモアを言葉だけで操る噺家を観察するのは何かヒントになるのではないか、とのことでした。 調べてみると寄席というのは都内のいろんなところにあり、年中落語がナマで見れることを知りました。長年東京に住んでいても知らないことはあるものです。早速スケジュールを調整し、一番アクセスしやすかった「新宿末廣亭」にいってみました。 実際に落語を見てみると、初心者でも普通に引き込まれ、笑えますし、何より、学べることが沢山ありました。以下、気づいたことを書き連ねていきます。なお、本文で「落語」という場合は、いわゆる「江戸落語」を指すものとします。 ノンバーバルコミュニケーションの大切さ まず、落語というものは基本的に噺家が1人で座って話す形で進行し、語りと多少の小道具(扇子・手ぬぐい)だけであらゆる登場人物を演じ分け、物語を展開させる超絶技巧の上に成り立っています。もちろん聴き手にもそれなりの想像力は要求されますが、このシンプルな手法で色鮮やかな情景を描くのは、噺家の声のトーンや間合いの取り方、表情、身振り手振りといった非言語領域でのテクニックが肝になっていると感じました。 それゆえ、落語は音声だけでなく、ナマか動画で見た方が圧倒的に面白いです。演目によっては、身振り手振りで落ち(サゲ)が成立するものもあるらしいです。 落語を聴いた後に自分のプレゼン動画を引っ張り出してみると、このノンバーバルな部分への意識があまり及んでいないことがとてもよくわかります。もちろん、ビジネスシーンでどこまでやるかというのはありますが、印象の残りやすさや引き込まれやすさ、飽きのこなさを追求する上で、噺家が行っている工夫を参考にする余地は大いにあると思います。 導入(マクラ)の大切さ 多くの噺家が本題の前にマクラというものを話し、小咄を通して聴衆の気を惹きつけます。上手い人だと臨機応変に客いじりをしたり、いい具合に本題に繋がるような伏線を張ったりするのですが、このマクラだけで 「この人は何やら面白いことを話しそうだ、気合を入れて聴こう」と思わせる力があることに驚かされます。 これはビジネスシーンでいうところの「アイスブレイク」ではないでしょうか。プレゼンや会議で本題に入る前にちょっとしたアイスブレイクを入れることがあるかもしれませんが、そこにおいてもこのマクラの考え方は役に立つと思います。ちょっとした雑談で場を温めるのも良いですが、それが実はアジェンダの伏線になっていたりすれば、参加者の興味をそそること間違いなしです。参加者が内職してしまったり居眠りしてしまったりするかどうかは、導入時点であらかた決定してしまうのかもしれません。 落ち(サゲ)の大切さ 落語はその名の通り、多くの演目においてサゲと呼ばれる、いわゆる「落ち」が存在します。この落ちにより聴き手は面白く思ったりカタルシスを感じたりするわけですが、綺麗に落ちる話しほど記憶に深く刻まれる傾向にあることに気がつきました。落ちにもさまざまな分類があるのですが、なんとなく、落ちるためにはそこに至るまでの経緯にある程度筋が通っている必要があり、綺麗に落ちるものは全体を通してストーリーとしての「why」がわかりやすいため、記憶に残るような気がします。 そして僕はこれは、ビジネスシーンでいうところの「腹落ち」なのではないかと思いました。プレゼンも「起承転結」でストーリーを展開すべしと言われますが、「結」で理解・納得していただくためにはきちんと「why」を説明する必要があります。逆にいうと、「結」で落とせないプレゼンでは人の記憶に残りにくいのです。 落語を聴こう 以上がしばらく落語に触れてみて得られた気づきです。 何かを伝える上で「導入」と「落ち」が大切、といいつつ、この投稿に特に落ちはないのですが、ぜひ興味を持っていただけたら落語を聴いてみてほしいです。僕もまだまだ落語から学べることがありそうなので、引き続き聴いてみようかなと思っていますし、また折を見て寄席に行こうと考えています。 いわゆる「スタンダード」を聴いてみたい、という場合は、Spotify にある以下のようなプレイリストがおすすめです。 「古典落語だととっつきにくい…」という方には、ドラマ「タイガー&ドラゴン」をオススメします。僕もこの落語マイブームの一環で一気見してしまいましたが、クドカンらしい古典落語の解釈が楽しめます。本文の執筆時点で Amazon Prime Video で配信中です。 さぁ、落語を聴こう! Appendix 社内 Slack の times で「落語に興味を持った」ことを投稿したところ、「さだまさしのステージトークを聞いてみてください!」というレコメンドをいただきました 全く知らなかったのですが、さださんのコンサートでは毎回抱腹絶倒のステージトークが行われていて、これを研究目的にコンサートにくる芸人もいるくらいなのだとか そして、さださんは「落研」出身らしい 「さだまさしトークベスト」というものが Spotify で配信されていたので聞いたところ、確かに落語らしい落ちのあるストーリーを巧みな話術で展開していて、それでいて落語ほど「古典芸能」感はなく、非常に興味深かったです。というか、普通に爆笑しました 僕が寄席で見た落語で一番面白かったのが春風亭一之輔さんでした。演目は「桃太郎」だったのですが、独特の勢いと毒のある感じが好きでした 寄席にいった翌日に「笑点」新メンバーになったことがニュースになっていて、あまりのタイムリーさに驚きました 「いま最もチケットが取れない落語家」と言われているそうですね。ビギナーズラックを感じます

2月 27, 2023 · Masato SERIZAWA