こんにちは。SmartHR CEOの芹澤です。
皆さんはここ最近、十分に運動ができていると感じますか?
厚生労働省が2019年に作成した「国民健康・栄養調査報告」によると、1回30分以上の運動を最低週2回、1年以上継続して実施している人は男性で33.4%、女性で25.1%となっているそうです。現在ではリモートワークが普及したことで通勤という尊い運動機会を喪失した人も少なくなく、上記の質問に「YES」と答えるのはなかなか難しいかもしれません。
ただ、僕は自信を持って「YES」と答えられます。
正確にいうと、この半年で生活習慣を見直し、「YES」と答えられるようになりました。
僕はあいにく運動の趣味を持ち合わせておらず、昨年末くらいからジワりと体重が増加したことを機に、運動不足対策を始めました。意識的に体を動かす努力・工夫をしてきましたが、運動というものはその習慣がない人にとっては継続させることが難しく、うまくいった取り組みとそうじゃないものがあります。今回は、その試行錯誤を通して「運動習慣のないデスクワーカー」の僕がなんとか運動を継続させられるようになった工夫を書いていきます。もちろん、あくまで僕の場合の話なので、全ての人に効果があるとは思いませんが、何かしらの参考になれば幸いです。
運動の効能を理解する
運動を習慣づけるためには強い動機が必要です。「痩せたい」とか「なんとなく運動不足を解消したい」程度の動機だと三日坊主で終わってしまうことがほとんどです。その先にあるアウトカムまで考えることが大切です。
運動による効能のうち、パッと思い浮かぶのは「健康になる」かもしれませんが、実は脳の働きに対して良い影響を与えることがわかってきています。
この「運動脳」という本によると、運動を行うと脳内物質が分泌され、以下のような効果が認められているといいます。
- ストレスの軽減
- 集中力の増加
- モチベーションの増加
- 記憶力の強化
- 創造力の強化
人間は歴史上、デスクワークを行ってきた期間より狩猟や採集を行ってきた期間の方が長いため、体を動かすことを通して脳の様々な働きが刺激される、というのがこの本のロジックとなっています。
運動にもいろいろありますが、この本がおすすめしているのが「有酸素運動」です。脳を最高のコンディションを保つためには、週に3回、45分以上のランニングを行うのが望ましいとのことですが、たとえわずかな1歩でも脳のためになるという考え大切で、日常的に歩く距離を増やすだけでも変わってくるそうです。
運動を行うことで仕事にも良いコンディションで臨めるようになる。そう考えると、なんとか運動を続けてみようと思えないでしょうか。
継続の力を理解する
運動の効果を理解した次は、継続の力を理解しましょう。
「Atomic Habits」として知られるこの本では、小さなことでも継続することによって発揮される威力を説いています。1日1%の改善でも、1年間を続ければ複利が効いて37倍よくなる、というのがベースとなる考え方です。
習慣を作るためには脳に「その習慣が未来のために役に立つ」と認識させることが大切であり、それは以下の4つのステップにより達成できるといいます。
- きっかけ
- 「習慣」を作りたいと感じる根本にある問題に気が付く
- 例えば「体重が増えてきた」など
- 問題をスルーしないよう、できる限りハッキリと検知できる仕組みを作っておくと良い
- 例えば「毎朝体重を測る」など
- 「習慣」を作りたいと感じる根本にある問題に気が付く
- 欲求
- 「きっかけ」で気が付いた問題を解決したことによって得られるメリットをイメージする
- 例えば「運動をすることで体重が減って好きな服を着られるようになる」など
- 「きっかけ」で気が付いた問題を解決したことによって得られるメリットをイメージする
- 反応
- 問題を解決するための行動を行う
- 例えば「食事をコントロールする」「走る」など
- 問題を解決するための行動を行う
- 報酬
- 「反応」により「欲求」が満たされてることで満足する
- 脳が一連のつながりを学習し、さらなる報酬を求めるために「きっかけ」に対し反応するようになることで、習慣化が達成される
また、この本ではアイデンティティを「繰り返す存在」であると解釈し、習慣をコントロールすることで自分自身を変化させ、より理想とする姿に近づけていくことができるといいます。例えば、ミュージシャンは「毎日楽器を演奏(練習)する」からミュージシャンになり、プログラマーは「毎日コードを書く」からプログラマーになるのです。つまり、目指したい理想の姿と、そこに近づくための最小単位の行動習慣をリンクして考えることが大切ということです。運動に限らず、何かを習慣化する際は、それを繰り返すことが自分の理想とする姿とどう紐づくかをイメージしてみると良いでしょう。
運動量を可視化する
持続可能な習慣とするために、自分の中で「アトミック」な運動量を決めて、それを定量的に達成していくことをしましょう。
「毎日n分歩く」とか「週に3回走る」という目標を決めることも大切ですが、それを記録し可視化することは思いの外モチベーションの維持・向上に役立ちます。
今はスマートフォンがあれば大体のアクティビティは記録されますし、ウェアラブルデバイスがあればより正確な活動量が計れます。有酸素運動では心拍数を意識することが大切なので、心拍数を測れるデバイスがあると捗ると思います。
僕は腕時計は丸い形状が好みなので、Amazfit の GTR Mini を使っています。各種運動をスムーズに記録できたり、日々の活動量のノルマを設定できたりと、運動習慣を作るのに必要な機能は一通り揃っています。
運動の時間を作る
さて、多忙なビジネスパーソンが運動習慣を作る最大の難所は「時間を作る」ということではないでしょうか。
僕も日中は仕事に、夜は会食や飲み会、家事に追われるため、定期的に運動の時間を確保することに苦戦しました。
これを解決したのが「朝の時間を開拓する」という方法でした。
ただ、僕はもともとはどちらかとえば夜型の生活を送っていて、朝早く起きるのは苦手でした。おそらく多くの人にとって、朝早く起きることは簡単なことではないでしょう。
そんな早起きの難しさを攻略するテクニックが説明されているのがこの本です。
この本ではいかにして「起きたい気分」になるかを以下のステップで説明しています。
- 前夜のうちに意思を固める
- 「朝起き最初に考えたことは、大抵、寝る前最後に考えていたのと同じ内容である」ため、翌朝に前向きな期待を持つ意識を、毎晩寝る前に積極的に持つことが重要
- アラーム時計をベッドから遠ざける
- 起き上がってベッドから出ることが、目覚めるための大きな助けとなる
- 歯を磨く
- 起きてすぐに、何も考えずにできることをやって、体が目覚める準備期間を与えることが重要
- コップいっぱいの水を飲む
- どんな時も疲れを感じた時は、大抵必要なのは睡眠よりも水分である
- 運動ができる服に着替える
- 朝のエクササイズは潜在能力を最大化するのに重要
- (そう、この本で運動をすることの大切さが説かれています)
個人的には「前夜のうちに意思を固める」というのが思ったより効果がありました。ほら、誰だって休日の早朝から楽しみな予定がある時は頑張って起きられますよね。あれを意図的に作り出すのです。
アラームに関しては、僕の場合は朝早くから音を鳴らすと家族に迷惑がかかるため、スマートウォッチのバイブレーションを目覚ましにすることでスムーズに起きられるようになりました。
狙って早起きができるようになると、運動に限らず読書や趣味の時間にあてられる時間が増やせられるのでとてもオススメです。もちろん、そのために早めに寝ることも大切です。
監視を入れる
さて、ここまで色々と運動を習慣化するための「理論」を書いてきましたが、とはいってもなかなか思い腰があげられなかったり、仕事の忙しさやちょっとした体調不良を理由に習慣が中断されることは多々あります。
人間とは誰しもが強い意志を持ち合わせているわけではありません。自助努力に限界を感じたら、他人の力を借りましょう。
SNSやローカルなコミュニティ(会社のSlackとか)で運動を宣言したり結果を報告したりする、なんてことは手っ取り早く始められるかもしれません。誰かを巻き込んで一緒にやる、はたまた競い合うなんてこともいいでしょう。周りから何かしらのレスがもらえたりすると、1人でやるより確実に継続するモチベーションは高まります。
もう一つ、プロに頼って解決する手段もあります。世の中には「パーソナルトレーナー」と呼ばれる人たちがいて、契約することで日々の食事や運動を細かく管理してもらえます。僕もここ半年くらいパーソナルトレーニングを受けていますが、定期的に計測が入ったり報告義務が生じるのはかなり運動を継続するモチベーションとなっています。他にも、ボディメイクのための栄養学が学べたり、減量や増量のメニューをオーダーメイドで作ってくれたりするので、確かな効果が実感できます。
で、どれほど運動してんの
僕が「アトミック」な運動量として設定している運動ノルマは以下の2つで、これをずっと続けています。
- 週平均で1日8,000歩以上になるようにウォーキングをする
- 週2回以上、30分のジョギングをする
ウォーキングはちょっとした隙間時間に歩くようにしたり、移動の際に1駅前で降りるなどの工夫をすると、意外と無理なく達成できます。
ジョギングは、例えば平日に1回、休日に1回みたいな感じで緩く目標設定をすると、意外と無理なく達成できます。本当は週3回行きたいのですが、どうしても仕事の忙しさや天候の影響を受けてしまいますね。
これらの習慣により、コロナ禍で増加した体重は無事に返済できました。あと、歩数のノルマを意識することで、休日をダラっと惰眠を貪って過ごすようなことがほぼなくなりました。
散歩の時間が増えたことで、近所のいろんな道を歩いて知らなった場所を発見したり、Podcastの消化が捗ったりと、副次的な効果もありました。これ、案外嬉しかったです。
心なしか思考もクリアになったような気がします。気のせいかもしれませんが。
理想のカラダになるために
ちなみに、「運動 = 痩せる」と結びつけるのはやや危険です。痩せるためには摂取カロリーと消費カロリーのバランスを調整する必要があります。どんなに運動をしていても摂取カロリーが消費カロリーを上回っていたら痩せません。減量のために一番重要なのは「食事コントロール」です。実はこっちの方も色々と取り組んでいたりするのですが、それはまた、機会があれば書きます。
いずれにせよ、体を動かすことはいいことです!
運動を習慣化しましょう。